覚えておきたい法律の読み方③~「係る」「関する」~


前回は、法律上等でよく使われる接続詞について、ご紹介しました。


覚えておきたい法律の読み方②~接続詞~


今回は、これまたよく使われる言葉である、「係る」「関する」についてご紹介したいと思います。


「係る」「関する」

「係る」「関する」は、どちらも特定の言葉をつなげるために使われる言葉です。


読んで字のごとく、「関係する」という意味合いを持ちます。


会話の上ではどちらも「関係する」といった意味合いで通じるでしょうが、法律上で用いられる「係る」「関する」は、ルールをもって使い分けられています。


「係る」と「関する」の使い分け

「係る」と「関する」の使い分けは、つなげる語句の結びつきの強さによって分けられます。


「係る」・・・直接的な強い結びつき
「関する」・・・間接的等・広義的等の緩やかな結びつき


とは言っても、その度合いが分かりにくいですね。


「~に係る」=「~による」、「~に関する」=「~に関連する」などと置き換えても意味が通じたりするような、そうした程度のつながりのニュアンスととらえてもよいでしょう。



例えば、大学設置基準第32条には以下のような条文があります。


(卒業の要件)
第三十二条 卒業の要件は、大学に四年以上在学し、百二十四単位以上を修得することとする。
2 前項の規定にかかわらず、医学又は歯学に関する学科に係る卒業の要件は、大学に六年以上在学し、百八十八単位以上を修得することとする。ただし、教育上必要と認められる場合には、大学は、修得すべき単位の一部の修得について、これに相当する授業時間の履修をもつて代えることができる。


上記の場合、「医学又は歯学に関する学科」、「学科に係る卒業の要件」と、「関する」と「係る」がひとつの条文に入っています。


この場合は、「医学又は歯学に比較的広い意味で関連する学科」という意味合いで、薬学部など、その他関連がある学科があることが分かる構造となっています。


「学科に係る卒業の要件」部分は、強い結びつきがあり、「この学科についてはすべて」や、「この学科に関しては一律に」といった限定的な意味合いも含有しています。



終わりに

今回は、「係る」「関する」の使い方、使われ方についてまとめてみました。


「係る」「関する」も、よく条文上で目にする言葉ですし、日常的にも使用する機会が多いかと思います。


条文上でなくとも、こうした使い分けに注意して日常的な会話やメールで使用してみるのも、条文の正しい理解につながってよいかもしれませんね。