大学職員にとっての法律
大学職員は一般企業の会社員に比べて、法律に接する機会が多いです。
踏まえておきた日本国憲法や教育基本法、学校教育法、私立学校法などはもちろん、各大学内にも寄附行為や学則、各種規程など、多くの法があり、それに則った対応が求められます。
なんとなく読んでいるだけでは気づかないことや、法律上の独特の表現方法などが実は多くあります。
これらは、法律や規程を読む際だけでなく、大学内における各種規程づくりにも役立ちますし、こうしたルールを知らないで規程を作ってしまったり、読み間違えてしまうと、大きなしっぺ返しを喰らってしまうこともあるでしょう。
大学職員には、法を読み、作ることができる力が必要とされます。
それを踏まえて今回は、この法律の仕組みや独特の言葉選びなどについてまとめたいと思います。
法律の構造(編、章、節、款、目)
まずは、法律そのものの構造です。
基本的には、法律の名称があり、第1条、第2条、第3条・・・と、条文が続いていく、というのが一般的なスタイルであり、印象になっているかと思います。
ですが、「第1条の2」やら、「第3条2項」やら、その他細かいくくりも聞いたことがありますよね。
何が違うのでしょうか。
まず、ある程度まとまった条数がある法律に関しては、大くくりとして「章」が基本単位となります。
さらに下の段階で細分化する場合には「節」、さらにさらに細分化する場合には「款」が用いられます。
さらに小さい単位として、「目」というものもあるようです。
なお、民法などでは「章」より上の単位として「編」が用いられていることもあります。
章立てや編立ての法律には、法律の題名の次に目次がつき、章名等とその下にその章等が何条から何条までで構成されているかが規定されます。
条文の構造
では、条文の構造はどうなっているでしょうか。
通常、法律は箇条書きの記述となっており、これらの箇条書きが「条」とされています。
条文にはそれぞれ内容を簡潔に表す「見出し」が、カッコ書きでつけられます。
(古い法令にはない場合もあります)
複数の条文にまたがる見出しの場合は、「共通見出し」と呼びます。
また、一つの条を内容に応じて区分する場合、条文の中で段落分けを行い、この段落を「項」と呼びます。
条・項の中で、事項の列記をする場合は「一、二、三…」と漢数字で番号をつけ、これを「号」と呼びます。
さらに、「号」の中を細分する場合は、「イ、ロ、ハ…」を用い、更に細分化する場合は「(1)、(2)、(3)…」、「(i)、(ii)、(iii)…」を用います。
規定の順序
規定の順序についても、基本的な構造があります。
第一章には、目的規定や定義規程など、法律全体に関する総則的な規定を置きます。
それ以降に法律の内容に関する規定が並びます。
さらに必要に応じて、雑則的な規定が続き、法律によっては最後に罰則を規定されるのが通例となっています。
例えば、学校教育法ですと、
第一章 総則(第一条―第十五条)
第二章 義務教育(第十六条―第二十一条)
第三章 幼稚園(第二十二条―第二十八条)
第四章 小学校(第二十九条―第四十四条)
第五章 中学校(第四十五条―第四十九条)
第五章の二 義務教育学校(第四十九条の二―第四十九条の八)
第六章 高等学校(第五十条―第六十二条)
第七章 中等教育学校(第六十三条―第七十一条)
第八章 特別支援教育(第七十二条―第八十二条)
第九章 大学(第八十三条―第百十四条)
第十章 高等専門学校(第百十五条―第百二十三条)
第十一章 専修学校(第百二十四条―第百三十三条)
第十二章 雑則(第百三十四条―第百四十二条)
第十三章 罰則(第百四十三条―第百四十六条)
附則
といった構成になっており、紹介した基本構造と同様になっていますね。
終わりに
基本的な法律の構成についてご紹介しました。
引き続き、法律についていくつかご紹介していきたいと思っていますが、それはまた別の記事でご紹介させていただきます。
覚えておきたい法律の読み方②~接続詞~