学校法人の財務情報って何?公開の必要性は?


学校法人の財務情報とは

学校法人の財務情報とは何でしょうか。


私立学校法第47条には、下記のような条文があります。

(財産目録等の備付け及び閲覧)
第四七条 学校法人は、毎会計年度終了後二月以内に財産目録、貸借対照表、収支計算書及び事業報告書を作成しなければならない。
2 学校法人は、前項の書類及び第三十七条第三項第三号の監査報告書(第六十六条第四号において「財産目録等」という。)を各事務所に備えて置き、当該学校法人の設置する私立学校に在学する者その他の利害関係人から請求があつた場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならない。

学校法人は、毎年会計年度終了後に財産目録貸借対照表収支計算書事業報告書を作成しなければいけません。

これらが学校法人の財務情報にあたります。


なお、厳密には事業報告書は財務情報に当たらないかもしれませんが、教職員数などの人的な財産の記載があったり、他の財務情報とひとくくりで扱われることが多いため、ここでは同列の扱いとしています。


このうち、収支計算書はさらに細分化され、資金収支計算書事業活動収支計算書の2つがあります。



これらの情報は公表すべき事項であるとされており、公表が適切に行われていない場合には経常費補助金の減額がされるようです。


公表の方法としては、大学ホームページのどこかに掲載されているだけでなく、第三者が閲覧しやすい工夫(情報公表コーナーにまとめるなど)が必要です。


また、学校法人のホームページのみではダメで、各大学からの明確なリンク等で公表ページをつなぐ必要があります。


資金収支計算書とは

資金収支計算書は、当該年度に行った諸活動に対応する全ての収入と支出の内容と、当該会計年度における支払資金の顛末を明らかにする計算書です。


その年度に、どんな内容のどれだけの額の収入・支出があったかがわかる書類となります。

また、調整勘定によって、年度内に取引が発生したものの金銭的な動きがなかった金額(期末時点の未収金・未払金など)についても計算しています。



事業活動収支計算書とは

事業活動収支計算書は、資金収支を「教育活動による資金収支」「施設整備等活動による資金収支」「その他の活動による資金収支」の3つに区分し、それぞれの活動ごとの資金の流れを表す計算書です。

基本的には資金収支計算書の中身の順番を並び替えて整理したものとなっております。


これにより、学校法人における本業である教育活動の収支状況がひと目でわかるようになります。

一見経営がうまく行っているように見えても、本業である教育活動における収支が悪く、その他の活動による収入に頼っている学校法人などが、すぐにわかります。


貸借対照表とは

貸借対照表は、年度末時点における資産、負債、純資産を対照表示して計算した書類です。

バランスシートや、B/S(ビーエス)と呼ばれることもあります。

学校法人の財政状態がひと目でわかります。

企業会計における貸借対照表と同じものですが、「基本金」や「繰越収支差額」の概念は学校法人会計特有のものとなります。

基本金ってなに?


終わりに

学校会計に関するお話については、実際の担当者でない限り、また、特別な勉強をしない限りはなかなか理解するのが難しい分野かと思います。

企業会計とはまた別の概念があり、その差異に戸惑うこともあるでしょう。

ですが、大学が発信する情報について、どんなものであるか程度は、しっかりとわかっておきたいですね。