大学入試に関しては、全大学間での一定のルールが定められています。
毎年そのルールが決定・発表されるのですが、それが「大学入学者選抜実施要項」です。
大学入学者選抜実施要項とは?
毎年5月末から6月頭頃に次年度入学者選抜を対象とした「大学入学者選抜実施要項」が文部科学省高等教育局長から通知されます。この要項には、入学者選抜にあたっての基本方針、入学者受け入れの方針(アドミッション・ポリシー)、入試方法、実施時期、出題範囲、提出書類、試験区分による定員割合など入試に関する基本的なルールが記載されています。
各大学はこれに従って入学者選抜を行うことが求められています。
入学者選抜実施要項:文部科学省
入試に関わる日程
この要項の中で、入試に関わる日程についても規定がされています。出願や入試、入学手続等の日程設定は、入学者獲得戦略の重要な要素ですし、競合他大学や国立大学の入試に関する日程を知った上で、戦略的に日程設定することも必要です。
しかし一方で、高校教育に対する影響や入学志願者の負担への配慮も必要です。
そのため、この要項において最低限のルールが定められており、これに準拠することが求められています。
現在公開されている要項(平成30年度入試)に定められている主な日程を紹介します。
6月1日~7月31日
:入試区分ごとの学力検査の実施教科・科目・試験方法、その他入学者選抜に関する基本的事項の発表8月1日以降
:アドミッション・オフィス入試願書受付11月1日以降
:推薦入試願書受付(判定結果は一般入試の10日前までに発表)~12月15日
:募集要項(アドミッション・ポリシー、募集人員、出願要件、出願手続き、試験期日、試験方法、試験場、入学検定料その他入学に要する経費の種類・額やその納入手続・期限等を明記したもの)の発表2月1日~4月15日
:試験期日(一般入試等の学力検査によるもののみ)~3月31日
:この日までに入学辞退の意思表示をした者への授業料等及び諸会費の返還(原則)~4月20日
:合格者決定発表期日募集人員の基準
各大学の募集人員については予め各大学で定められている入学定員によりますが、その他の制限については要項にて定めがあります。推薦入試の募集人員の上限については、以下のように定められています。
大学における推薦入試の募集人員は、附属高等学校長から推薦に係るものも含め、学部等募集単位ごとの入学定員の5割を超えない範囲において各大学が定めるものとする。
推薦入学者ばかりにならないような配慮ですね。
ですので、附属校からのエスカレータ方式による入学者以外にも、半数以上は外部からの入学者が(基本的には)入ってくるような仕組みとなっています。
その他要請事項
そのほか、この要項には障害のある入学志願者への合理的配慮の要請や、入試の模範解答や出題意図の公表、入試に関するミスの防止策についてなどの情報が記載されています。さらに、調査書の様式、記載項目等も確認できます。
おわりに
大学毎に、様々な日程、方法で入試が行われていますが、入学志願者への負担や公平性を考えると、それぞれの大学がそれぞれにすべてを好き勝手に決定することは良いこととは言えません。そのため、こうした一定のルールが定められているわけですが、こうしたルールをかいくぐる、いわゆる抜け穴のようなものもあると聞きます。
何が良くて何がダメなのか、判断は難しいところですが、基本的なルールとして、こうした情報はすべての大学職員は押さえておいた方が良いかと思います。
また、調査書の様式なども載っているので、大学入学を志す高校生も、知っておいて損はない情報かと思います。