教学マネジメントとは
大学における「教学マネジメント」とは何でしょうか?「教学経営」とも呼ばれることもある、この「教学マネジメント」ですが、一般的には下記のような定義となっています。
教育目標を達成するために教育課程を編成し、その実現のための教育指導の実践・結果・評価の有機的な展開に向け、内部組織を整備、運営すること
各大学にて策定・公表している3つのポリシー(アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシー)ですが、これにはそれぞれの一貫性を求められています。
この一貫性のもと、適切な教育指導が行えるように内部組織の整備・運営を行うのが「教学マネジメント」であると解してよいでしょう。
また、ポリシーや目標自体の策定に関してもこれに含まれます。
教学マネジメントの具体的取り組みは?
教学マネジメントは、教育の質向上のための整備・運営ということとなりますので、その取り組みの範囲はかなり広く、各大学でも様々な取り組みをおこなっているようです。文部科学省のwebサイトに掲載されている「大学の教学マネジメントの確立に必要な専門スタッフの養成等の在り方に関する調査研究」報告書では、下記のようなものが学士課程教育の質的転換における教学マネジメントに関する重要項目として挙げられています。
・明確な教育目標の設定とこれに基づく体系的な教育課程の構築
・学内の教員間での教育改善に関する認識の共有
・教育改善に関するPDCAサイクルの確立
・学修状況の分析や教育改善を支援する体制の構築
・図書館や自学自習環境等の学修支援環境の充実
・学長を中心とする運営体制の確立
・・・など。
「大学の教学マネジメントの確立に必要な専門スタッフの養成等の在り方に関する調査研究」:文部科学省
専門スタッフは配置すべき?
同報告書では「教学マネジメント専門スタッフの配置」について、全体の4分の1の大学しか配置していないこともわかります。専門スタッフに期待する能力としては、以下のようなものが挙がっています。
・PDCAサイクルマネジメント力
・カリキュラム設計・管理
・データの分析能力
・FD手法の知識
やはり、体系的な取り組みや継続的な分析・改善を行うことができるような人材が望まれていますね。
逆を返せば、こうした人材が現状いない、ともとれます。
こうした能力は相当の経験や勉強を要するでしょうから、なかなかに確保に苦しめられているのかと推測できます。
おわりに
「教学マネジメント」と一口に言っても、その取り組みは多岐に渡ります。基本的な側面としては、大学が掲げた目標に沿った教育が出来ているか、結果が出せているか、の問いに対して、調査・分析を行い、組織的な改善を図る、というものになるかと思います。
さらに、そうした改善の手法をPDCAサイクルとして体系化することで、さらなる教育の質保証につながります。
「分析」「改善」「継続」。
どれも重要なものです。