補助金にも影響。クロスアポイントメントとは?
平成30年度から、経常費補助金の「大学院における研究の充実」の設問にて、「クロスアポイントメントによる人材流動化」という項目が追加されるようです。では、クロスアポイントメント(混合給与)とは、なんなのでしょうか?
経済産業省のページでは、以下のように説明されています。
クロスアポイントメント制度の基本的枠組と留意点をとりまとめました(METI/経済産業省)
クロスアポイントメント制度とは
クロスアポイントメント制度とは、研究者等が大学、公的研究機関、企業の中で、二つ以上の機関に雇用されつつ、一定のエフォート管理の下で、それぞれの機関における役割に応じて研究・開発及び教育に従事することを可能にする制度です。
研究者が複数の機関に所属し、それぞれの機関において職員として働く、といった制度となり、「人事・給与システムの弾力化」の一環として提唱された大学改革プランのひとつです。
毎週月水金は大学教員として○○大学で働き、火木は研究者として○○研究所で働く、といった就業スタイルを言う模様です。
これにより、研究者等の人材が組織の壁を越えて活躍でき、イノベーション・ナショナルシステムにおける技術の橋渡し機能が強化されることが期待できるそうです。
研究分野においては、即戦力人材の確保が期待できますし、教育分野においては最先端研究の知見を得られることによる人材育成の発展や実践的な教育プログラムの開発などの利点があります。
産業界等のリアルタイムな情報を大学にて得られるようになりますから、大学にとっても学生にとっても有益な制度ですね。
こうした場合、これまでは兼業として扱われ、本務での職務専念義務を損なわない範囲でしかできなかったものが、この制度の導入で自由度が増すこととなり、研究者にとっても有益です。
クロスアポイント制度の問題点
現状、想定される問題としては、給与や退職金、社会保険などの待遇の面が挙げられています。所属している複数の機関から、それぞれに別途受け取ることとすると、その境界が分からなくなってしまうためです。
この解決策として、「在籍型出向」形態をとることが解決策として考えられています。
これは、主となる在籍機関(出向元)と、出向先を設定し、出向元と出向先との協定によって、研究者への待遇を出向元からの1本化にするという方法です。
大学にて導入する場合の注意点は?
では、大学にて新たにクロスアポイントメントを導入する場合は、どういった対応が必要でしょうか。出向先(あるいは出向元)との協定書の整備や、雇用契約の整備が必要となります。
また、企業等における機密や、知的財産の扱い等においても、整備しておく必要がありそうです。
大学業界においては、産業界との連携の必要性・重要性が叫ばれている昨今ですが、こうした制度によって、そうした連携への障壁が少しずつでもなくなっていくとよいですね。