建学の精神とは
建学の精神は、学是、校訓や建学の理念などとも呼ばれるものです。当然のことですが、各大学には設立の目的があります。
「どのような人材を育て、どうのように社会に貢献していくか」といった目的を端的に表したものです。
これは、寄附行為における必要的記載事項の「目的」と直結する部分になります。
また、大学の3つのポリシーにも、この建学の精神が密接に関係します。
まさに、各大学を表す言葉そのものと言えます。
日本社会において、「多様性」というものは発展のために不可欠な要素です。
その発展のために、(特に)私立大学は建学の精神を基礎として独自的・個性的な教育を行っているということになります。
建学の精神の重要性
私立学校は、独自の建学の精神に基づく個性豊かな教育研究を行う機関として位置づけられています。「私立大学等の振興に関する検討会議」においても、私立学校における「建学の精神」は、学校そのものの基盤となるものとして、方針策定の第1歩目の役割を担っているということがうかがえる議論が展開されています。
私立大学等の振興に関する検討会議「議論のまとめ」(本文):文部科学省
・私立大学(私立大学及び短期大学をいう。以下同じ。)は、独自の建学の精神に基づく個性豊かな教育研究を行う機関として発展し、全大学の約8割を占めるなど、 我が国の学校教育において大きな役割を果たしてきたところであり、今後とも、その振興を図っていくことが求められる。
・我が国の私立大学は、戦後の高等教育の普及、先端的・独創的な研究の進展、高等教育機関の社会貢献の促進の面でそれぞれ大きな役割を果たし、社会の発展にとって重要な貢献をしてきた。とりわけ、各大学の建学の精神を生かした独自の校風による教育・研究の実施は、女子教育を含め、多様性に富んだ個性豊かな人材の育成や、多様な知的価値の創造等を通して、我が国のあらゆる面での発展を支えてきている。
・各大学は、建学の精神に基づく教育によって高等教育にふさわしい教育の成果を示せているのか、経済社会の変化・ニーズ等も踏まえてどのような人材の育成を目指し、どの程度まで身に付けるべき力を備えさせたか、またそうした人材を社会に送り出すことができているか等について、自ら検証し、改善を図るとともに、学生や保護者、地域、企業等のステークホルダーに対して十分に説明できることが重要である。
・私立大学における学長、学部長その他人事については、理事会が最終決定を行うものであり、学長の選考については、平成26年の学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律に係る施行通知において示されているとおり、私立大学においても、建学の精神を踏まえ、求めるべき学長像を具体化し、候補者のビジョンを確認した上で決定することは重要であり、学校法人自らが学長選考方法を再点検し、学校法人の主体的な判断により見直していくことが求められる。
・各大学が自らの建学の精神に基づき、その教育研究に関して、地域との連携や産業界との連携、グローバルな展開、生涯学習の推進など、それぞれの強みや特色に応じて学内資源を集中し、自らの特色をより組織的に強化していくための取組を促す方策を検討。
このように私立大学における差別化、特色というのは「建学の精神」の違いによるところであると言えます。
大学の全ての施策の根源・根本は「建学の精神」との整合性から成っているわけです。
あなたの勤める大学、あなたの通う大学、あなたが卒業した大学の「建学の精神」はどんなものか覚えていますか?
もし、「忘れてしまった」「知らなかった」という方は、これを機に調べてみると良いかと思います。
それに合致した人間を育てられているでしょうか?
それに合致した人間になれたでしょうか?
おわりに
「建学の精神」は、各大学の存在理由であり、願いであり、看板とも言えます。そうした理念に共感し、その目的を一緒に果たすことができる方と職員として一緒に働けるのはとても素晴らしいことです。
また、その理念に共感し、その理念のもとに策定されているアドミッションポリシーを見て大学に入学してくれる新入生にも、感謝したいですね。
ただ、そうした状況に必ずしもなっていないということが、少し残念ではありますが。
全国建学の精神一覧① -北海道・東北地方編-
全国建学の精神一覧② -関東地方編-
全国建学の精神一覧③ -中部地方編-
全国建学の精神一覧④ -近畿地方編-
全国建学の精神一覧⑤ -中国・四国・九州地方編-