アセスメントポリシーとは?
アセスメントポリシーは、学生の学習成果の評価について、各大学がその目的、達成すべき質的水準、評価の実施方法などについて定めた学内の方針です。文部科学省の用語集では、下記のように定義されています。
学生の学修成果の評価(アセスメント)について、その目的、達成すべき質的水準及び具体的実施方法などについて定めた学内の方針。英国では、高等教育質保証機構(QAA:Quality Assurance Agency for Higher Education)が中心となって質保証に関する規範を策定し、各大学が満たすべきアセスメントの質的水準や手法などについて規定している。各大学では、これを踏まえて学内の方針を定めている。
補助金に影響?
平成30年度より、このアセスメントポリシーの整備が私学助成金の配分項目に追加される見込みです。アセスメントポリシーの整備の有無によって、補助金の大幅な増減があることはなさそうですが、未だ整備していない大学においては、対応が急がれます。
どれくらいの大学が対応済み?
平成28年度の日本私立大学協会の「大学教務に関する実態調査」の集計結果では、対象365校のうち、「定めている」を回答したのは16.4%の60校のみでした。残り26.3%が「検討中」、56.7%が「定めていない」という回答でした。
実に全体の83%の大学が、未対応という状況です。(平成28年度時点)
アセスメントポリシーの策定はどうすれば?
策定済みの大学の多くは、以下の構成でアセスメントポリシーを構成しています。1.大学全体(機関レベル)のアセスメントポリシー
2.学部毎(教育課程レベル)のアセスメントポリシー
3.科目毎(科目レベル)のアセスメントポリシー
また、その評価指標とその評価時期についても公表している大学が多いようです。
すでにある3つのポリシー(アドミッションポリシー・カリキュラムポリシー・ディプロマポリシー)との関係性から、その指標を策定する大学もあり、各大学での特色が表れています。
アセスメントポリシーにおける評価指標まとめ
Web上で公開されているアセスメントポリシーに関わる評価指標についてレベル毎にまとめてみました。入学前・入学直後 | 在学中 | 卒業時・卒業後 | |
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大学全体 (機関レベル) の指標 |
・入学試験 ・学生調査 ・調査書等の記載内容 ・入学時満足度調査 |
・休学率 ・退学率 ・学生調査 ・満足度調査 ・学修行動調査 ・課外活動状況 |
・卒業率 ・就職率 ・進学率 ・学位授与数 ・アンケート調査 |
学部毎 (教育課程レベル) の指標 |
・入学試験 ・入学時満足度調査 ・面接、志望理由書等 |
・GPA ・進級率 ・休学率 ・退学率 ・修得単位数 ・満足度調査 ・学修行動調査 ・課外活動状況 |
・GPA ・資格・免許取得状況 ・単位修得状況 ・卒業時満足度調査 ・アンケート調査 ・就職率 ・学位授与数 |
科目毎 (科目レベル) の指標 |
・入学試験 ・プレイスメントテスト |
・成績評価 ・学修ポートフォリオ |
上記のほか、各種外部テストを用いて評価をしている大学も多いです。
これらの結果を、各大学のIR部門等が分析し、教育の質の向上に生かすこととなります。
おわりに
3つのポリシーと並び、アセスメントポリシーについても、今後必須の流れにあるようです。まとめてみると、適切な大学運営を行っていれば当然やっていて当たり前のことばかりですし、それを組織だって自己評価や検討をする良い流れになるんではないでしょうか。大切なのは、データを取ること、集めることではなく、それをどう今後に生かすかということになるかと思います。
様々なアンケート等に対応・協力してくれている学生に対して、その声を生かし、より良い大学にするというお返しができるようになるといいですね。