卒業延期制度は大間違い?


卒業延期制度とは?

文字通り卒業を延期する制度です。

単純に卒業要件単位を満たせず、修業年限で卒業できなかった留年とは、区別が異なります。

学生の意思による計画的な修学延長のための制度と言えるでしょう。

ですが、基本的には就職留年としての扱われ方が強いように思われます。

元々は、数年前のリーマンショック時に、多くの大学生が内定取り消しをされ、その救済措置のような形で、一部の大学で開始された制度となっています。

その以前から同様の制度を設けていた大学もありましたし、そうした救済のみを目的としている大学もあれば、そうでない大学もあるでしょう。


卒業延期制度は文科省的にはNG?

国立大学では、基本的に卒業延期の制度を設けていません。

そもそも「就職できないから大学を卒業できない」というのは、大学の在り方・考え方としては誤りです。

時代の流れや学生・産業界のニーズとしては、一概にこの考え方を否定することはできませんが、原則論としては大学卒業と就職は切り離して考えるべき事柄です。

昨今の大学の就職予備校化に対する批判の流れもあり、文科省的には「良くない」とする制度なのかとも思えますが、公式な見解としては、「大学設置基準で定める卒業の最低要件を満たしてさえいれば、当該学生を卒業させるかどうかは各大学の判断に委ねる」といったところのようです。

学生の卒業・学位授与は教授会が意見を述べたうえで学長が決定することとなっていますから、教授会・学長がそれを必要と判断するのであれば、問題ない、ということになりましょう。


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実際留年したほうが就職に有利?

これは就職を希望する企業にもよるかとは思いますが、必ずしも有利とは言えないです。

大手企業など、新卒の採用スケジュールがキッチリしているところや、新卒の条件が厳しい企業しか希望しない、ということであればそうなのでしょうが、第二新卒の対応もありますし、そういったことはまずないかと思います。

ですので、特段の理由がない限りは卒業延期の制度は不要と個人的には考えますし、多くの大学もそうした理由から制度を設けていないように考えられます。

本制度を導入している大学の方のお話を聞くと、制度の悪用とまでは言わないまでも、結果的に学生の怠慢を助長してしまうような扱われ方になっているケースもあるようです。

就職の意思なく、ただ学生の身分を延長して持ち続けたい、というような大学職員としては残念な気持ちになる学生も、少なからずいます。


おわりに

卒業延期制度に関しては、メリットもデメリットもある制度のようですので、各大学で丁寧な検討をし、学生の利益を損なわない運用を心がけていくべきかと思います。

これから導入を検討する大学、現制度を見直す大学、様々な対応があるかと思いますが、学生を取ります就職状況や社会情勢に即したフレキシブルな対応ができるのが一番良いかと感じています。