非常勤講師の契約無期転換の回避策


労働契約法の改正によって生じる2018年問題

労働者契約法は2008年3月に施行され、2012年8月には改正労働契約法が公布されました。その中で、労働契約法改正による2018年問題というものが取り沙汰されています。
これは、大学においても関係が深い話で、特に長らく科目を受け持ってくださっている非常勤の先生に対して、何らかの対応が必要となります。

労働者契約法の改正内容

労働者契約法の改正によって大学が関係してくる部分としては、下記十八条の部分が主として挙げられます。
第十八条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
これは、2013年4月1日を起算日として、同一の使用者との間で有期労働契約が反復更新されて通算して5年を超えたときには、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるというものです。
大学側は、法律上これを断ることはできません。
2013年度からずっと毎年更新で科目を受け持っていただいている先生は、希望すれば2018年度から無期で更新ができる(ずっとこれまでと同じ契約を続ける)ということとなります。

無期転換を回避する方法

大学としては、人件費等の部分でも上記の申し入れをされると困ることがあります。ですので、それを回避する手段をいくつかご紹介します。
なお、あくまで法的に認められるであろう手段であり、これを推奨するものではございませんので、予めご了承ください。双方の合意の上での決定が第一かと思います。

  • ①研究等に従事している(または、今後従事する)
  • ②学内の大学教員任期規則等に基づく任期付き教員としての契約
  • ③6ヶ月以上の無契約期間を設ける

①研究等に従事している(または、今後従事する)

研究開発強化法により、無期転換に関わる通算契約期間が5年から10年となります。このため、当面の転換義務は回避できます。ただし、この特例を受けるためには、当該教員の業務の主たる部分が研究等である必要があります。
通算契約期間が5年を超える前に、従事する職務に研究等を追加し、それを主とするという合意がとれれば、回避が可能です。

②学内の大学教員任期規則等に基づく任期付き教員としての契約

大学教員任期法により、こちらも無期転換に関わる通算契約期間が5年から10年となります。ただし、この特例の適用を受けるには、大学教員任期法に基づいての契約であることが明示できるような学内規則・規程が必要になると考えられます。

③6ヶ月以上の無契約期間を設ける

通算契約期間の算定にあたり、6ヶ月以上の無契約期間がある場合には、継続した契約期間には当たりません。そのため、一度契約更新を取りやめ、6ヶ月経過後に再度契約をするという手法があります。

おわりに

色々と書いてみましたが、基本的には大学側の都合である部分が強くなってしまった印象です。法律的な抜け道となりそうな部分をご紹介したまでで、これを推奨するわけではございませんので、ご理解ください。
あくまで、双方の合意が大切であり、絶対条件かと思います。
逆に、不当に雇い止めを受けそうな非常勤の教職員の方にも、参考にしていただければと思います。