インフルエンザが流行する時期です。 各大学、感染拡大を防ぐために出席停止等の措置をとっていることかと思います。 今回は、その根拠法令等についてまとめます。
感染症による公欠の法的根拠
学校保健安全法第19条に、以下の条文があります。第四節 感染症の予防
(出席停止)
第一九条 校長は、感染症にかかつており、かかつている疑いがあり、又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる。
大学においても、こちらの法令により、出席の停止の措置をしていることとなります。
これは、学校が集団生活を営む場であり、感染が拡大しやすい環境であることから、感染拡大による教育活動への影響を防ぐといった趣旨になります。
また、学校保健安全法施行令第6条には、以下の条文があります。
(出席停止の指示)こちらの条文により、「あなたが学校に来ると感染が拡大する恐れがあるので出席しないでください」といった指示が出せるということになります。
第六条 校長は、法第十九条の規定により出席を停止させようとするときは、その理由及び期間を明らかにして、幼児、児童又は生徒(高等学校(中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部を含む。以下同じ。)の生徒を除く。)にあつてはその保護者に、高等学校の生徒又は学生にあつては当該生徒又は学生にこれを指示しなければならない。
2 出席停止の期間は、感染症の種類等に応じて、文部科学省令で定める基準による。
どんな感染症が対象?出席停止の期間は?
こちらは、学校保健安全法施行規則第18条、19条で定められています。第三章 感染症の予防 (感染症の種類)期間については、以下です。
第十八条 学校において予防すべき感染症の種類は、次のとおりとする。
一 第一種 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、急性灰白髄炎、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)、中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。)及び特定鳥インフルエンザ(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第三項第六号に規定する特定鳥インフルエンザをいう。次号及び第十九条第二号イにおいて同じ。)
二 第二種 インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く。)、百日咳せき、麻しん、流行性耳下腺炎、風しん、水痘、咽頭結膜熱、結核及び髄膜炎菌性髄膜炎 三 第三種 コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎その他の感染症
2 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第七項から第九項までに規定する新型インフルエンザ等感染症、指定感染症及び新感染症は、前項の規定にかかわらず、第一種の感染症とみなす。
(出席停止の期間の基準)長くてわかりにくいですね…。
第十九条 令第六条第二項の出席停止の期間の基準は、前条の感染症の種類に従い、次のとおりとする。
一 第一種の感染症にかかつた者については、治癒するまで。
二 第二種の感染症(結核及び髄膜炎菌性髄膜炎を除く。)にかかつた者については、次の期間。ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りでない。
イ インフルエンザ(特定鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)にあつては、発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあつては、三日)を経過するまで。
ロ 百日咳せきにあつては、特有の咳せきが消失するまで又は五日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで。
ハ 麻しんにあつては、解熱した後三日を経過するまで。
ニ 流行性耳下腺炎にあつては、耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹ちようが発現した後五日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで。
ホ 風しんにあつては、発しんが消失するまで。
ヘ 水痘にあつては、すべての発しんが痂か皮化するまで。
ト 咽頭結膜熱にあつては、主要症状が消退した後二日を経過するまで。
三 結核、髄膜炎菌性髄膜炎及び第三種の感染症にかかつた者については、病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで。
四 第一種若しくは第二種の感染症患者のある家に居住する者又はこれらの感染症にかかつている疑いがある者については、予防処置の施行の状況その他の事情により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで。
五 第一種又は第二種の感染症が発生した地域から通学する者については、その発生状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間。
六 第一種又は第二種の感染症の流行地を旅行した者については、その状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間。
基本的には、
①学校保健安全法施行規則第18条に規定される感染症にかかっている証明があるか?(診断書等)
②医師や校医による加療期間の証明があるか?
③上記の期間を公欠の扱いとする
といった流れが妥当です。
より詳細を知りたい方は、文科省のサイトに解説がありますので、そちらをご参照ください。
判断はどうすればいい?
ここまで説明しましたが、原則として、医療知識のない職員が判断をすべきではありません。ここまでの話はあくまで基準になりますので、判断を要する事態になった場合は、校医や医師の判断を仰ぎましょう。
上記の表もあくまで基準ですので、診断書に記載がありさえすれば、診断書を基準として考えるべきです。
病気の症状や治癒期間については一般論や原則の基準ではなく、医師の判断が第一です。