除籍と退学の違い?学籍異動って何?

学籍異動とは?

まず、学籍とは何でしょうか。

学籍とは、「その学校の学生であることを示すために当該学校に氏名等を登録・記載し、名を連ねること」とされています。

学籍?学籍簿?記載事項・保存期間は?

学籍異動は、この学籍の異動のことを言い、学籍を設定した後に生じる学籍簿の記載事項の追加・変更を言います。

ですが、一般的には休学・復学・退学・除籍を指すことが多いです。
私は経験はありませんが、抹籍というものもあるそうです。

学籍を抹消、つまり入学自体、在籍の事実そのものをなかったことにするという処理だそうです。ですがこれは、「異動」には当たらないかもしれませんね。


除籍と退学の違い

除籍も退学も、大学から出学することで変わりはありません。
しかし、出学の理由が大きく異なります。


退学
学生が願い出て、それを大学が認めるもの。
※ただし、懲戒退学は除く


除籍
大学が、特定の事由により学生を退学させるもの。


大きなくくりで言えば、除籍も退学のひとつですが、学籍異動の種別上は別となっています。

では、どうした場合に、大学は学生を除籍するのでしょうか?

除籍の理由?

おそらく各大学の学則にも規定されているかと思いますので、みなさんの大学での扱いも確認してみてください。

なお、一般的な除籍の理由は、以下のようになっています。


  • 学費の未納
  • 長期間にわたり学習の意欲が認められない
  • 在学年限を超えた


などです。


除籍・退学した場合の証明書は?

除籍・退学した場合でも、「在籍期間証明書」や在学中の「成績証明書」は基本的には発行可能です。

ただし、学費未納による除籍の場合は、学費を納めていない期間の成績は証明されないのが一般的ですので、その点は注意が必要です。


「学習をして、その結果認定された単位なんだから、学費とは別問題だろう」という意見も耳にします。

確かにその通りで、学生の学修の結果を単位として認定し、授与するわけですから、そこに学費は一見無関係に思えます。

ただ、ここでの問題は、学生間の公平性です。


学費を払った学生も、学費を払っていない学生も、同様のサービスを受け、単位も認定されていては、学生間の公平性を保つことができません

むしろ、少ない経済負担で単位習得ができる学費未納者のほうが得をしているとも言えます。


大学といえど、(特に私立大学は)経営のためにも学納金収入は必須ですから、しっかりと学費を支払って通ってくださっている学生のためにも、未納者に対しては厳格な対応が必要となります。

もちろん、学費未納の理由はそれぞれですし、苦労してアルバイトや借金でお金を捻出したにも関わらず、支払期限に間に合わずに除籍となってしまうといったケースもありますので、そこはそれぞれに判断が必要になるかとは思います。


ここで重要な点は、誠実に頑張っている学生の不利益を考慮することを忘れない、というところです。目の前の学生の状況にとらわれてしまうと、結構見落としがちな視点です。

退学や除籍は誰が決定する?

休学や復学等も含め、学籍異動は学長が決定します。

教授会が決定すると思われがちですが、違います。


以前までは、学校教育法施行規則第144条に、「学生の入学、退学、転学、留学、休学及び卒業は、教授会の議を経て、学長が定める。」と定められていましたが、平成27年4月1日施行の「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律」(平成26年法律第88号)で、この条文が削除され、教授会の役割についての考え方が整理されました。

学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律及び学校教育法施行規則及び国立大学法人法施行規則の一部を改正する省令について(通知):文部科学省

(2)教授会の役割の明確化(第93条関係)
    教授会については,これまで「重要な事項を審議する」と規定されてきたが,教授会は,教育研究に関する事項について審議する機関であり,また,決定権者である学長等に対して,意見を述べる関係にあることを明確化するため,以下のとおり改正を行ったこと。
  1) 教授会は,学生の入学,卒業及び課程の修了,学位の授与その他教育研究に関する重要な事項で教授会の意見を聴くことが必要であると学長が定めるものについて,学長が決定を行うに当たり意見を述べることとしたこと。(第93条第2項)


また、留意事項には、下記の記載があります。

2) 学校教育法第93条第2項各号に掲げる事項については,教授会に意見を述べる義務が課されていること。学長に対しても,教授会に意見を述べさせる義務を課しているものと解されるが,学長は,教授会の意見に拘束されるものではないこと。
4) 学校教育法第93条第2項第1号で規定された以外の,学生の退学,転学,留学,休学については,本人の希望を尊重すべき場合など様々な事情があり得ることから,学校教育法施行規則第144条は削除し,教授会が意見を述べることを義務付けないこととしたこと。

学校教育法第93条第2項は、学生の入学や卒業に関することになります。

つまり、入学・卒業に関しては、教授会が意見を述べたうえで学長が決定するということが法的にも定められています。

その他の退学、転学、留学、休学については、教授会での意見を述べる機会もなくてもよい、というのが法的な考え方です。


学長の権限・責任がとても重いですね。

ただ、実際には、従来通り学籍異動全般を教授会で議論している大学が多いように見受けられます。

こちらに関しても学校教育法第93条第2項で「教育研究に関する重要な事項で、教授会の意見を聴くことが必要なものとして学長が定めるもの」も教授会の意見を述べるものと定められていますので、そこに学籍異動が含まれていれば従来通りの「教授会の議を経て」の形でも問題ありません。


こちらは学長裁定等の形で各大学で明確化されているものかと思いますので、確認してみるのも良いでしょう。